東西南北の語源は「右」「左」だった?方角に込められた意味がすごい!
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普段何気なく使っている言葉には必ず始まりがあります。
最近は少し難しいクイズを取り扱う番組がブームになっていることもあり、言葉の意味や由来を問われるクイズも散見されます。
しかし、あまりにも初歩的な言葉のため、語源すら考えもしなかった言葉も存在します。
例えば、「北」「南」などそれぞれの方角を表す言葉があります。これらの語源を考えたことはありますか?
実際に考えて調べた人はあまりいないでしょう。
漢字については中国から来たものをそれぞれ当てはめて表現していますが、「きた」「みなみ」という当初の言葉には必ず語源があります。
そこでこの記事では『東西南北の語源は「右」「左」だった?方角に込められた意味がすごい!』と題しまして、何気なく使っている方角の語源をわかりやすくイラストとともに解説していきます。
方角の中心は東
今の時代、特に日本で普通に生活しているだけでは東西南北に優劣はありませんが、古代の日本や多くの宗教では「東」という方角が崇拝される傾向にあります。
東が崇拝されている例は様々な文化に反映されています。
- キリスト教の教会が向いている方向はほとんどが東である
- 日本神話でもアマテラスの孫である天孫「ホノニニギノミコト」が「日に向かう」という意味の「日向の高千穂」に降臨する
- 初代天皇である神武天皇は高千穂(九州)から地上を平定するために東へ向かった(神武東征)
- 聖徳太子が隋の煬帝に「日出る処の天子、書を、日没する処の天子に致す。」と日本が暗に東にある事を伝えたとも言われている
ここに挙げたのは一例ですが、「東」がかなり崇拝されていることがわかります。
そこで、方角の語源も「東」から始まります。
「東」の語源は「日に向かう」という意味の「ヒムカシ」がだんだんと変化して出来たとされています。
南の語源は東からみた「右」だから
「南」の語源は簡単です。東から見て「右」だからなのです。
昔日本では右のことを「ミギリ」と呼んでいました。「ミギリ」と「ヒダリ」が対になる言葉だったのです。確かによく似ていますし自然ですね。
この「ミギリ」が変化して「ミナミ」になり、東の右にある方角が南、とされたのです。
北の語源は東からみた「左」だから
「北」の語源も南の時と同じとされています。東から見て「左」にあるというのが語源です。
「左」は昔から「ヒダリ」と表現していました。
「ヒダリ」が変化し「ヒダ」になり、そこから「キタ」になり北を表現するようになりました。
北は「汚い」に似ているから縁起が悪い?
日本人は古来から言葉遊びや洒落、響きを大事にしてきました。口から出る言葉には「言霊(ことだま)」と言って力が湧いているとされたのです。
縁起の悪い言葉に近い言葉を良い響きの言葉に言い換えて代用する文化がありました。
この縁起の悪い言葉を「忌み言葉」と言います。
忌み言葉は今でもよく使われています。特に冠婚葬祭では使われていますが、それ以外にも日常的に使用されています。
- 植物の葦(あし)のことを「ヨシ」と表現する(アシ=悪しと考えた)※いまだに漢字変換で「ヨシ」と検索すると、「葦」が出てきます
- スルメの「スル」がモノをする、貧乏になるイメージがあるため「あたりめ」と表現する
- 結婚式で「終わる」ことを「お開きにする」と表現する
- 大阪の梅田はもともと泥土だらけの低湿地帯を「埋めた」ため「埋田」だったが字面が悪く、ゆかりのあった「梅」を使った
「北」に関しては、「汚い」と似ていることや、太陽が当たらない方角であることにより、暗いイメージがどうしても付きまといます。
そのため「敗北」などマイナスな言葉に使われがちです。
ちなみに「敗北」の「北」は方角を表す文字ではなく、二人の人が背を向けている象形文字を表しており、「相手に背を向ける」という意味になります。
「背を向ける」の「背」の字にも「北」が入っているのでわかりやすいですね。
西の語源ははっきりしていないが「死者の国」説がある
東西南北のうち、「西」の語源だけがあまりはっきりとしていません。
しかし、いくつかの説のうちよく言われているものを紹介いたします。
西は日が沈んでいく方角ですよね。
昔から太陽=神様とあがめられているため、逆に日が沈んでしまう「西」は死者の国があると言われています。
仏教でも「西方浄土」というように、極楽浄土は西にあると表現されています。
また、古事記では死者の国として「根之堅州国(ねのかたすくに)」という世界があると紹介されています。この「根」が「ニ」に変化し、方角を表す「シ」と合わさって「ニシ」になったという説があります。
その他にも日が沈む=日が去る方角ということで「去(い)にし」から「ニシ」になった説もあります。
これで東西南北すべてが揃いました!
中国での「西」の語源は太陽とはもともと関係なかった
そもそも「西」という文字は、象形文字なのですが、もとはというと籠状のものを表している文字とされていました。
これが時代が経つにつれて変化し、鳥の巣を表すようになりました。
そこから方角の「ニシ」に当てはめた理由ですが、これがかなり湾曲した理由なのです。
夕方になると鳥が西にあるそれぞれの巣に帰る様子から「西」という字を方角の「ニシ」として使うようになったのだそうです。
実際に「西」という字と十二支の「酉年」の「酉」という字は似ています。そのため「西」が鳥に関わる文字であることは自然とわかるのですが、方角に当てはめたのはかなりこじつけに見えます。
その理由は、方角という概念よりも先に象形文字が出来たから、なのです。
中国では早くから文字を使う文化が花開いていたため、今では当たり前の言葉ももとからあった文字を適当に当てはめて表現していることが多く、このような現象が起きてしまったのです。
日本語は言葉が先に出来た言語で後から文字が作られたため、不思議な感覚に感じます。
言葉の語源を突き詰めると意外なつながりがわかる
今回ご紹介した「東西南北」と「右左」の関係のように、意外な言葉同士が同じ語源だったり密接にかかわっている例というのは意外と存在します。
国語が得意でない人も、ふとした言葉を調べてみると面白い答えにたどり着くと楽しくなりますし、誰かにトリビアとして披露すると少しだけ尊敬されることもあります。
今国語や漢字に魅力を感じていない方も、今回の記事をきっかけに面白さを少しでも感じていただければと思います。
それでは最後までお読みいただきありがとうございました。